網膜剥離からの回復日記

40歳目前にして網膜剥離に罹患したときの覚え書き。

少しずつ取り戻す日常

何ヶ月ぶりかに、ハイヒールを履いて街に出た。


メガネをしていない自分の顔をまじまじと眺めるのも久しぶりのこと。

アイメイクしたのも何週間ぶりだろう。


なにせ視力の落ちている間は、段差やひとの流れがこわくて

転倒→外傷→再剥離の間抜けなカスケードに陥らないためにも

外出時は、デイパックに杖が必携、靴だってスニーカーか、よくてペタンコのパンプス。


もともとお洒落がすきなほうではないけれど、

さすがに女性としてこれがデフォルトになるのは辛すぎる。

まだ若いのにー(いや、そうでもないけど)

私にはもうスカート履くこともお着物着ることも許されないのか!!


そんな風に、ぐるぐると悲観的思考を巡らせていた日々が懐かしい。


人間の回復力って、ホントに凄い。

今は、極端に疲労困憊しているときや雨の夜以外は、杖はいらなくなった。

デイパックではない普通のかばんを肩にひっかけて、軽快にスタスタと…いや、ドタドタと歩けている。


ちなみに、今日の私が気合いいれて出かけた先は、時計屋さん。


研修医の頃、仕事が辛くて辛くて辛くて辛くて本当に辛くて倒れそうだったころ、

判断力鈍ったアタマで衝動買いした某スイス時計。

オーバーホールをお願いしにいったのです。


今の零細開業医である私めには、数万円のメンテナンス費用は正直分不相応なのだけれど、

病める時も健やかなる時もずっと私の傍にいてくれた大事な相棒なので、やっぱり無理をしてでも労ってあげたいのです。

私が死んだら柩に入れて欲しいくらいな時計だもの。


デザインがツボすぎて、相当無理して買ったのだけれど、

あれから10年以上たっても未だこの子を超えるお気に入りの腕時計には出会えていないので、

買ってよかったなーと。


そんな大事な相棒を送り出すので(オーバーホールは1カ月以上かかる)、

しゃんとした装いでいかなくては。

(それに、変な格好だと時計屋さんにも失礼だしね)


半分見栄もあるけれど、

こうやって見栄をはれるくらいに元気になったことに感謝。