網膜剥離からの回復日記

40歳目前にして網膜剥離に罹患した、とある開業医の独り言

もうすぐ一年

網膜剥離を発症してから、もうすぐ丸一年。

昨年の冬あたりからは

自分が比較的大きな病気をしたってことをあまり意識しなくなってきている。

街を歩く時に護ってくれていた杖とも今は離れることができて

スポーツも習い事も再開した。

視力も矯正かければ日常生活にはなんら問題もない。

疲れたときや天候の悪いときに

術側の視野がなんとなく暗く感じたり

眼球のまわりにほんの少しだけ違和感があったり

小さな変化はないわけではないし

再発の不安は、全くないと言ったら嘘になるけれど

でもそれはそれ。

割り切るのは得意なほうだと思っていた。

それなのに。

昨日、家の近くを走っていたとき、本当に急にフラッシュバックみたいに

昔の自分と

入院してた暗澹たる気持ちの自分と

本当に治るのかなって泣いてた自分が

全部ごちゃまぜになって脳裏に浮かんできた。

なにも悩まず

ただひたすらランニングを楽しんでいた自分、仕事にも遊びにもいつも全力投球だった自分を思い出し

寂しいような悔しいような気持ちになった。

やっぱり揺れ戻りは時々あるんだな。

そうはいっても、今の私には夢も希望もたくさんあるから

後ろばかりを向いててはもったいない。

医者になりたてのころ、大先輩がおっしゃっていた言葉を思い出す。

患者さんがなにか希望を見つけたときは

一緒に喜んで応援してやりなさい。

希望はひとが回復していく一番の原動力なのだから。

20代の若くて傲慢で健康そのものだった当時のわたしには、正直あまり響く言葉じゃなかったけれど

今はかなりずしんと重みを感じる。

うん、大事。希望は本当に大事。

私が嗜んでるのがマイナースポーツなので

身元バレのため詳細は伏せるけれども

一度離れていた競技に、もう一度戻りたいな。

そんな希望に、なぜだか急に火が灯ったんだ。

こう思えるようになるのに一年かかった。

長い長い一年だったな。

でも

今からでも遅くない。そう信じて。